「ふるさと納税で旅行に行ける」と聞くと、旅行券が届くイメージを持つ人が多いと思います。ふるなびトラベルは少し違っていて、届くのはその自治体の中でだけ使える電子ポイントです。
この差が、使い始めてから効いてきます。有効期限がない代わりに自治体をまたげない。宿によっては金額の上限がある。外部の予約サイトを使うと支払い方法を間違えるとポイントが使えなくなる。どれも公式ページに書いてあるのに、見落とされやすい条件です。
仕組みと流れ、それからつまずきやすいところを、公式の記載に沿って整理します。
仕組みは「寄附したら、その町で使える残高がすぐ入る」
ふるなびトラベルの公式ガイドの説明はこうです。旅行したい地域に寄附すると、返礼品として寄附金額に応じたふるなびトラベルポイントが即時付与され、そのポイントで寄附した地域の宿泊・食事・体験に使える。
換算は公式ページに明示されています。
| 寄附金額 | 付与されるトラベルポイント |
|---|---|
| 10,000円 | 3,000ポイント |
| 50,000円 | 15,000ポイント |
| 100,000円 | 30,000ポイント |
1ポイント1円相当なので、寄附額の3割が戻ってくる形。返礼割合の上限が3割と決められているので、そこに合わせた設計です。食品の返礼品と比べて特別に有利というわけではなく、受け取る形が「品物」ではなく「現地で使える残高」になっているだけと考えたほうが正確です。
- 10,000円以上の寄附から。以降は100円単位
- ポイントは利用期限なし。繰り越しと積み立てができる
- 1ポイント1円相当で、1円単位で使える
- 現金やクレジットカードとの併用もできる
- 使えるのは寄附した自治体に紐づいた提携店だけ
- 利用にはふるなびの会員登録とログインが必須
提携店は宿だけではありません。公式ページによると、飲食店やタクシー、アクティビティなども対象で、全国の提携店数は10,000件超(2025年12月現在)と表示されています。
「無期限」は本当に無期限です。ここはカタログ側と違うところで、ふるなびカタログのポイントには「一部有効期限のある自治体がございます」という注記が付いています。トラベルポイント側にその注記はありません。
名前が2つあって、ここでまず混乱する
「ふるなびトラベル」と「ふるなびトラベル予約」は、別のサービスです。検索するとどちらも出てくるので、最初に整理しておきます。
| ふるなびトラベル | ふるなびトラベル予約 | |
|---|---|---|
| 何をするところか | 寄附してトラベルポイントをもらう。提携店を探す | 宿の空室を検索して予約する |
| ふるさと納税は必須か | 必須(それが本体) | 不要。普通の宿泊予約サイトとしても使える |
| 支払い | 現地でQRコードを読み取ってポイントを使う | 予約時の事前決済、または現地払い |
| 対象 | 宿泊・飲食・交通・体験など | 宿泊施設のみ(2025年3月時点。順次拡大中と公式に記載) |
ふるなびトラベル予約のほうは、宿泊予約とふるさと納税を一連の流れにした仕組みで、ビジネスモデル特許(特許第7624263号)を取っていると公式に書かれています。運営は株式会社アイモバイルで、東京都知事登録旅行業第2種8301号として旅行業の登録もしています。
実務上の違いは1つだけ覚えておけば足ります。予約をどこでするかで、ポイントの使い方が変わる。次の章がそれです。
使うまでの流れ
ふるなびトラベルのサイトで旅行先を選び、自治体紹介ページか提携店の詳細ページから寄附します。寄附が完了するとその場でポイントが付きます。複数の自治体に寄附することもできますが、ポイントはそれぞれの自治体に紐づきます。
ふるなびトラベルのマイページに、寄附した自治体のポイントが表示されているかを見ます。ここで自治体名が並ぶので、どこで使える残高なのかが分かります。
ふるなびトラベル予約に対応している宿なら、そのまま予約して事前決済でも現地払いでもポイントが使えます。対応していない宿は、公式サイトや外部の旅行サイトで予約することになり、その場合の作法が別にあります(次章)。
外部サイトで予約した場合は、フロントで「ふるなびトラベルポイントを利用したい」と伝えます。公式ガイドによると、宿には「ご利用案内書」が用意されています。
宿に用意されている専用QRコードを自分の端末で読み取り、使うポイント数を入力して申請します。この操作にはふるなびへのログインが必要です。ログインできないとポイントは使えません。
宿泊以外の提携店(飲食店やアクティビティなど)も手順は同じで、会計時にQRコードを読み取ります。ただし予約が必要かどうかは提携店ごとに違うので、行く前に詳細ページの施設情報を見ておいたほうがいい。
寄附の前に、その自治体に使いたい宿や店があるかを確認できます
つまずきやすい条件を5つ
ここからが本題です。どれも公式ページに書かれていますが、注記の中に入っていて読み飛ばしやすい。
1. 宿によっては「1人1泊5万円まで」の上限がある
提携店の紹介ページに「ポイント利用条件あり」と表示されている宿があります。公式の説明はこうです。
- この表示がある提携店では、2024年10月1日以降に寄附して付与されたポイントは、宿泊費としての利用上限が1人1泊5万円まで
- 表示のない提携店では上限なく使える
- 2024年9月30日までに寄附して付与されたポイントは、表示の有無にかかわらず上限なく使える
なぜ宿によって扱いが違うのか。これはふるなび側の都合ではなく、総務省の地場産品基準がそう作られているからです。
返礼品の基準を定めた告示(平成31年総務省告示第179号)の第5条には、宿泊について2つの号が並んでいます。
| 条項 | 対象 | 金額の制限 |
|---|---|---|
| 第7号の2 | 区域内にあり、かつその都道府県内でのみ宿泊施設を運営する者が運営する宿(区域外のブランド名を冠するフランチャイズ等は除く) | 規定なし |
| 第7号の3イ | 上記に当たらない宿 | 調達に要する費用が一夜につき一人当たり五万円を超えないもの |
ざっくり言うと、その県だけで営業している地元資本の宿は上限なし、全国ブランドの宿は1人1泊5万円までという切り分けです。総務省のQ&Aには、ペア宿泊券の調達費用が8万円なら2(2人×1泊)で割って4万円だから基準内、12万円なら6万円になって基準外、という具体例まで書かれています。
さらに、宿泊施設を特定しない旅行券についてもQ&Aに項目があります。
告示第5条第7号の3イの趣旨を踏まえ、宿泊(飲食を伴うものを含む。)に係る部分が1人あたり1泊5万円を超えないものに使用を限定する等の対応が必要となる。
総務省「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A」問24の4
ふるなびトラベルポイントは、まさに「宿泊施設を特定しない」形で渡されるポイントです。だから宿ごとに上限の有無が変わり、ポイントを付与した時点の制度に合わせて2024年10月1日という線が引かれている。提携店ページの小さな表示の裏側には、この条文があります。
1泊10万円クラスの宿に全額ポイントで泊まりたい場合、「ポイント利用条件あり」の表示がない提携店(=地元資本の宿)を探すことになります。表示の有無は提携店ページで確認できるので、寄附する前に見ておくと空振りしません。表示がある宿でも、5万円を超える分を現金やクレジットカードで払えば泊まれます。
2. 外部の予約サイトで「事前決済」するとポイントが使えない
ふるなびトラベル予約に対応していない宿は、宿の公式サイトや他の旅行サイトで予約することになります。このとき公式ガイドが指定している手順があります。
- 支払い方法は「現地決済」を選ぶ
- 備考欄に「ふるなびトラベル利用希望」と記載する
公式ページには「予約時に『事前決済』すると、ふるなびトラベルポイントはご利用いただけませんのでご注意ください」と明記されています。旅行サイトの予約フローは事前決済が初期設定になっていることが多いので、ここは意識して選び直す必要があります。
先に寄附してポイントを貯めていても、予約の1クリックを間違えると使えない。この記事で一番現実的な事故はこれだと思います。
3. ふるなびコインが付く条件が細かい
ふるなびトラベル予約を使うと、対象施設の支払金額に対してふるなびコインが付くことがあります。付与率は公式に明示されていて、事前決済で1%、現地払いで0%。ただし注意事項のほうが重要です。
- 「事前決済」かつ「ふるなびトラベルポイント未使用」の場合のみ付与される
- 即時値引を選んだ場合は付与されない
- 現地でのQR決済は対象外
- 予約をキャンセルした場合は付与されない
- 実際に施設を利用した時点で付与される
1行目を読むと分かりますが、トラベルポイントを使った時点でコインは付きません。「ポイントで泊まって、さらにコインも」という組み合わせは成立しない作りです。ふるなびトラベル予約を普通の宿泊予約サイトとして使った場合にだけ、コインが付く。
4. ふるなびマネーと合算した1回の決済はできない
ふるなびマネーはチャージ式の決済サービスで、宿泊先の支払いにも使えます。ただしトラベルポイントとの関係に条件があります。公式のよくある質問から。
併用可能です。ただし、決済操作を2回に分ける必要があります。システム上、一度の決済で「ふるなびトラベルポイント」と「ふるなびマネー」を合算することはできません。
ふるなびマネー よくあるご質問(2026年9月17日確認)
さらに、宿泊施設等での現地決済以外ではふるなびマネーは他の決済方法と併用できず、決済金額の全額分を使う必要がある、とも書かれています。
フロントで会計しながらこれを初めて知ると面倒なので、使うつもりなら宿に着く前に頭に入れておいてください。なお当サイトは、ふるなびマネーを旅行の支払い手段として特におすすめする立場は取っていません。事実として、こういう条件がある、というところまでです。
5. 地場産品以外には使えない
公式ページに「ふるなびトラベルポイントは、地場産品以外の商品、サービスへのお支払いにはご利用いただけません」という注記があります。宿の売店で、その地域と関係のない全国流通品を手に取っても、ポイントでは支払えないということです。
これも制度側の話で、総務省のQ&Aには「区域内のホテルの宿泊代だけでなく、併設された売店において区域外で製造された商品にも使える」ような設計は基準に合わない、という趣旨の整理が出てきます。返礼品として渡されるものである以上、地場産品基準からは逃れられません。
使う前に知っておくと困らない3つ
条件の話とは別に、実際に使う段になって「聞いてない」となりやすいところが3つあります。どれも公式のガイドとよくある質問に書かれています。
ポイントで払った分は領収書の金額に入らない
トラベルポイント利用分は、領収書の発行金額の対象となりません
ふるなびトラベル よくあるご質問(2026年9月21日確認)
ポイントはあくまで返礼品であって、支払いではない、という整理です。経費で落とす予定がある人はここで詰まります。現金やカードで払った分だけが領収書に載ります。
寄附した本人しか使えない
付与されるのは寄附した本人で、第三者への贈答・譲渡・換金はできないと書かれています。親に寄附してもらって自分が泊まる、という使い方は想定されていません。家族で行くなら、行く本人の名義で寄附しておく必要があります。
利用申請は自分でキャンセルできない
いいえ、ご自身でトラベルポイントの利用キャンセルはできません。誤ってトラベルポイントの利用申請を行ってしまった場合は、提携店のスタッフにご確認をお願いいたします。
ふるなびトラベル よくあるご質問(2026年9月21日確認)
ここがこの仕組みのいちばん硬いところです。桁を1つ多く打っても自分では戻せない。窓口は提携店のスタッフになります。数字を入れたら、確定する前に一度見直したほうがいい。申込後に直せるもの・直せないものは申し込んだあとの変更とキャンセルの記事にまとめました。
向いている人、向いていない人
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| 行き先の地域がすでに決まっている(実家の近く、毎年行く温泉地など) | 行き先を決めていない。どこに行くか分からないうちに寄附すると、使い道が固定される |
| 控除上限が大きく、10万円単位で寄附しても余裕がある | 上限が小さい。3万円の寄附で9,000ポイントでは宿泊費の一部にしかならない |
| 旅行の予定が先でもいい。期限がないので積み立てられる | 今年中に使い切りたい。宿の空き状況に左右される |
| 食品の返礼品に飽きた。冷凍庫がもう埋まっている | 家族の人数が多く、1人1泊5万円の上限に引っかかる帯を狙っている |
寄附額がそのまま旅行の予算になるので、控除上限額を先に把握しておかないと計画が立ちません。上限を超えた分は自己負担になります。計算の考え方はふるさと納税の控除上限額の調べ方にまとめてあります。
同じ高額帯でも、旅行ではなく物で受け取りたいならふるさと納税で家電を選ぶときの考え方のほうが合います。旅行ポイントは行き先が縛られるぶん、使い道の自由度では家電に負けます。逆に「品を今すぐ決めたくない」だけが理由なら、ふるなびカタログという選択肢もあります。
「ポイント利用条件あり」の表示は提携店ページで確認できます
よくある質問
- 別の自治体のポイントを合わせて1つの宿に使えますか?
-
できません。トラベルポイントは寄附をした自治体に紐づくもので、使えるのはその自治体の提携店だけです。複数の自治体に寄附すること自体はできますが、ポイントは自治体ごとに分かれて管理されます。
- ポイントが余ったらどうなりますか?
-
利用期限がないので、繰り越して次の機会に使えます。ただし使えるのは寄附した自治体の提携店だけなので、その地域にもう行く予定がないなら残り続けます。使い切る前提より、その地域に複数回行く前提のほうが相性はいいです。
- 現地でQRコードが読み取れなかったらどうなりますか?
-
公式ページに読み取れない場合の案内が用意されています。ただしポイントの利用申請にはふるなびへのログインが必要で、ログインできないと使えないと明記されています。旅行前にログインできる状態か確認しておくと安心です。
- ワンストップ特例は使えますか?
-
ふるなびトラベルの寄附も通常のふるさと納税なので、条件を満たせばワンストップ特例の対象です。確定申告が不要な給与所得者で、年間の寄附先が5自治体以内であることが条件になります。ポイントを何に使ったかは関係ありません。手続きはふるなびでのワンストップ申請の手順を参照してください。
- ふるなびトラベル予約だけ使うことはできますか?
-
できます。公式に「ふるなびトラベル予約はふるさと納税をしなくてもご利用いただけます」と書かれています。その場合はクレジットカードによる事前決済で、普通の宿泊予約サイトとして使う形になります。
この記事で使った出どころ
- ふるなびトラベル「ご利用ガイド・ふるなびトラベルとは」(2026年9月17日確認)
- ふるなびトラベル予約「はじめての方 ご利用案内」「ふるなびトラベル予約とは」(同上)
- ふるなびマネー よくあるご質問(同上)
- 総務省告示第179号(令和8年3月31日最終改正)第5条第7号の2・第7号の3
- 総務省「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A」問24の2〜問24の4
キャンペーンや提携店の条件は変わります。寄附する前に、その時点の提携店ページを必ず見てください。ふるなび全体の評判や他のサービスはふるなびの評判とメリット・デメリットにまとめています。




